労働者たち、農民たち

監督 ストローブ・ユイレ

ストーリーらしいストーリーはない。演劇に近い。場面、森の中。6人の男女が物語る。ある時は暗唱で、ある時は台本を片手に。そのセリフは農民の日常を私小説のように。
木々の音、小川のせせらぎ、ひんやりとした空気、森の匂い、朽ちた大木、青々とした苔、しっとりした山肌。 凍てつく季節には何もかも捨ててしまいたくなるが、雪が消え、若葉が萌える頃には希望も充ちるというものだ。
労働し、汗をかき、木陰で涼風を感じる時、一杯の水で喉を湿らす時、他にこのような爽快な気分を、幸福感を味わえることがあるか。 人間は、気持ちが良いということを感じる必要がある。それを素直に感じられないシステムに人は縛られているのである。