森の学校

監督 西垣吉春
製作 2002年 

皆さんご承知のことだが、昨年、三浦春馬さんが突然亡くなった。今年に入ってから、当地においても、彼の子供時代の出演作である「森の学校」がドリパスで上映されることになった。DVD化もされておらず、その予定もないとのことで、映画館に足を運んだ。
そして、感想。
作品としては、佳作。文部科学省特別選定、厚生労働省推薦、環境省推薦等々の肩書き、教育映画にありがちな説教くささを危惧したが、そういうものをあまり感じさせることなく、小品だが演出も役者も良かった。神崎愛、篠田三郎の人間的な幹の太さと優しさ、三浦春馬を筆頭に子役たちの溌剌とした子供らしさも良く撮れていて、脇も劇団所属の基礎を感じさせる役者が多く安心して観ていられた。
ただ、映像については、16ミリのブローアップ、デジタル上映のせいか、粒子の荒さがあって、それほど美しいものではなかったのが残念ではあった。
しかし、どなたかが書いてらしたけども、これは撮影所システムで撮られた最晩年期の作品だということ。映像・ホン・役者どれをとっても懐かしさを覚え、こういった映画の作り方は過去のものになったのだと改めて思わされた。
それは、映画における良心という点において最も実感されることだ。
普遍的でありがちで、ある種の人たちにとっては退屈で、、。
映画史においては、連綿と受け継がれてきたそれらの思想への疑問が、ニューウェイブの流れを作ったとも言えるが、様々な意味において、この20年の間に、完全に失われたものの大きさに愕然とする。
今の日本映画もそれなりに面白いものは沢山ある。けれど、国際的な競争力はあるだろうか?大人の鑑賞に堪えるものを作る力が、世界市場に打って出る力があるだろうか。
世界に誇れるような映画作家は何人いるだろうか。
環境も家族関係も変化している。全てが変わって当たり前の世の中ではあるし、サブスクで観たいものが以前より簡単に観られるようにもなっている。
けれど、観るべきものがどのくらいあるか、制作費云々以前に、作られるべきものがどのくらいあるのか、考えさせられた。
そして次は、三浦春馬さんについて。